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米谷・佐佐木基金
第13回 米谷・佐佐木基金授賞式
日時:平成29年12月1日(金)15:00〜17:00
場所:ホテル日航プリンセス京都 〜ローズ〜(京都市下京区烏丸高辻東入ル)
一、開会の辞↓ | 近藤勝直 |
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一、選考の経過並びに結果発表↓ | 倉内文孝 |
一、受賞者の表彰↓ | 近藤勝直、佐佐木眞知子 |
一、受賞者(学位論文部門)の挨拶と受賞講演 | 大山雄己 |
大澤 実 | |
一、受賞者(功績部門)の挨拶と受賞講演 | 森田綽之 |
一、研究報告講演 | 谷口 守 |
一、閉会 |
開会の辞
開会にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。おかげさまで米谷・佐佐木賞も今年で13回です。いまも佐佐木綱先生の奥様とお話をしていたのですが、まだすぐやめるわけにはいかないので、あと10回以上は続きますから、みなさんぜひともご協力をよろしくお願いいたします。 最近の状況ですが、今年は創研部門は残念ながら該当者がございませんでした。昨年、谷口守先生という非常にハイレベルな受賞者が出ましたので、ハードルが上がってしまったのかなとも思うわけですが、あとで研究成果をご披露願えるものと思います。 学位論文部門には10名ほどご応募がありまして、たいへん厳しい競争でございました。選考経過についてはあとで倉内文孝先生から詳しくご紹介があります。 一つ、「米谷・佐佐木賞は、交通工学・交通計画の分野で研究業績を上げ、社会貢献をした人に授賞する」ということをホームページにも書いてあるのですが、じつはあまり大きくは書いていないのです。よく見れば小さく書いてありますが、そのあたりの趣旨がよく徹底していないこともありまして、交通工学・交通計画の隣接分野や親戚分野的なところからの応募がけっこうございます。 とくにややこしいのが、土木計画学に出していれば交通工学だろうと思って出されている方もけっこうおられます。たしかに土木計画学の研究発表会などは交通のテーマがたくさんあって、若い方々は勘違いされているかもしれません。しかし厳密な意味では違います。吉川和広先生の土木計画学の教科書よりも米谷先生の交通工学の教科書のほうがずいぶん早かったわけですからきちんとした分野なのですが、なぜか土木計画学に包摂されたような状況にあります。 ここらで一度、交通工学・交通計画というものをしっかりと、またホームページでも「そういう分野なんだよ」ということを、こちらもしっかりと宣伝をしていかなければいけないと思っております。とくに経済学や情報科学、心理学、あとは土木計画学などの隣接の分野から非常に応募が多いので、そのあたりの誤解も解いていかなければいけないと思っている次第です。 本日のプログラムは、大山雄己さん、大澤実さんの発表に続きまして、東京の森田綽之さんのご紹介がございます。最後に1年間の勉強の成果を谷口守先生に発表していただくという順番を今日は考えております。よろしくお付き合いいただければと思います。 先ほど若手10名から応募があったと申しましたが、先日テレビ・ニュースを聞いておりましたら若手研究者の6割が非正規雇用だとおっしゃっていて、それはたいへんだなと思いました。我々が助手だった時代とはずいぶん状況が変わっていて、そのあたりにも我々の新しい進路があるのかなとも考えております。今後また選考委員会のなかで議論をしていきたいと考えております。本日一日、よろしくお付き合いをいただければと思います。 |
選考の経過並びに結果発表
選考経緯と結果について簡単にご報告させていただきたいと思います。 まず創研部門についてです。創研部門の評価の視点は新規性と有用性、発展性の3点でした。応募資料を審査委員会で慎重に審査いたしましたが、残念ながら今年度は創研部門についてはそれに値する応募がなく、「該当なし」との結論に至りました。 昨年度から研究部門を創研部門に変更して、交通工学・交通計画の分野で斬新なテーマを研究されている研究者および技術者を表彰するかたちに変更しているのですが、その趣旨が十分に周知されていないのではないかと考えています。 引き続き学位論文部門についてご報告します。この賞は優れた博士学位論文を対象としており、評価の視点は研究内容の新規性、当該分野の研究発展に資する貢献度、研究成果の有用性、そして今後の将来展望です。この4点について各選考委員が評価をしてコメントを添えました。本年度は学位論文については10名の応募がありまして、いずれも非常に質の高いものではあったのですが、そのうち評価点の合計がとくに優れている2名を受賞者とすることで全員の意見が一致しました。 お一人目は、東京大学にて学位取得され、現在はスイスのEPFLでリサーチ・アンド・ティーチング・アソシエイトをされている大山雄己さんです。大山さんの学位論文のテーマは「A Markovian route choice analysis for trajectory-based urban planning」、日本語訳では「行動軌跡に基づく都市計画のためのマルコフ型経路選択分析」となります。簡単に内容を申し上げますと、移動体通信データ等を活用した経路選択分析について、マルコフ型の経路選択モデルの拡張を進めた研究です。 じつはマルコフ型の配分というのは、見た目はシンプルでエレガントですけれども、実際に使おうと思うとなかなかやっかいなものです。そういった欠点をとくに動的ネットワークを使うことによって補う方法を提案するとともに、災害発生時における逐次選択を迫られる状況での選択行動をこのモデルを使ってうまく表現されているということで、理論的および実現象の解明といった面からも非常に優れた研究として高く評価され、受賞に至りました。 もうお一方が、現在、東北大学で助教をされています大澤実さんです。大澤さんの学位論文のテーマは「Monocentric and Polycentric Patterns in the Spatial Economy: A unification of intra-city and inter-regional theories」、日本語訳では「人口・経済活動の空間的集積パターンの多極化メカニズム:都市内スケールから地域間スケールまで」ですが、経済および人口の集積パターンを表現する集積経済モデルの開発に取り組まれた研究です。この論文では、確率安定性の概念から都市の集積に関する分類を試みられていて、そこから空間上での多極的に集中するパターンの発生メカニズムの解明を試みておられます。これらの成果は今後の集積経済分析やその適用にあたって有用な示唆を与えるとして高く評価され、受賞に至りました。 今回受賞された2編の学位論文はいずれも英文で執筆されているのですが、文章表現や構成・展開も含めて非常に洗練されており、この年齢でこれほどのクオリティの論文が書けるのかということで、私自身も感銘を受けた次第です。お二人ともこれから国際的に活躍できる方だと確信しております。 最後に功績部門です。功績部門につきましては、交通工学・交通計画の分野にて社会貢献された研究者および技術者ということで、森田綽之先生に授賞することになりました。森田先生は現在、株式会社アイ・トランスポート・ラボ取締役および日本大学客員教授でおられますが、それ以前に首都高速道路において長年さまざまな分野で社会貢献をされており、今回、受賞に至った次第です。 以上、簡単でございますが、選考経緯と選考理由および結果についてご報告させていただきました。 |
受賞者
創研部門
受賞対象 交通工学・交通計画の分野にて、斬新な研究テーマを推進中の研究者および技術者
(該当者なし)
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学位論文部門
受賞対象 2014年9月から2017年8月に取得した特に優れた学位論文
大山 雄己 【 学位論文題目 】 |
大澤 実 【 学位論文題目 】 |
功績部門
受賞対象 交通工学・交通計画の分野で、社会貢献された研究者および技術者
研究報告講演
谷口 守 【 研究題目 】 |