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米谷・佐佐木基金
第4回 米谷・佐佐木基金授賞式
日時:平成20年11月28日(金)15:00〜17:00
場所:平安会館〜羽衣〜(京都市上京区烏丸通上町者町上ル)
一、開会の辞↓ | 飯田恭敬 |
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一、選考の経過並びに結果発表↓ | 桑原雅夫 |
一、受賞者の表彰↓ | 飯田恭敬、米谷多喜子、佐佐木眞知子 |
一、受賞者(研究部門)の挨拶 | 藤井 聡 |
一、受賞者(学位論文部門)の挨拶と受賞講演 | 嶋本 寛 |
一、研究報告講演↓ | 張 峻屹 |
一、閉会 |
開会の辞
本日は米谷・佐佐木賞の授賞式にご参加いただきまして誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げたいと思います。 道路の計画、交通の計画につきましては、この1年間非常に大きな動きがございました。国会では道路特定財源が取り上げられまして、これまでの道路計画のあり方について大きな疑問が出てまいりました。 私自身はこれまでの交通計画の考え方、たとえばサービス水準や便益の評価が交通量に基づいた平均値とか確定値で評価されてしまうことに対して、いろいろと疑問に思っていました。交通の現象は常に変動していますから、そういう変動を考慮してきちんと評価していかないといけないのではないか。交通の情報提供にしてもまさにそうです。基礎理論にさらに改良を加えることも大事ですが、交通計画・交通工学の考え方そのものも変えていかないといけないのではないかなと思っています。 米谷栄二先生、佐佐木綱先生は、交通工学で非常に先駆的な研究をされてきました。その顕彰の意味もございまして、この賞は交通計画・交通工学に新しい視点を取り入れた先駆的な研究を支援していこうということが一番大きな目的です。我々の奨学金、研究資金が、そういったことにいささかでも貢献できれば幸いだと思っております。 簡単ではございますが、これで挨拶に代えさせていただきます。 |
選考の経過並びに結果発表
簡単に審査結果の報告をさせていただきます。 研究部門は、既に評価の高い研究成果を発表するとともに、現在斬新な研究プロジェクトを推進中の若手の研究者あるいは技術者を授賞対象としております。慎重な審査の結果、本年度は東京工業大学の藤井聡教授に決まりました。 藤井先生は、行動変容に関する社会心理学的な研究を交通の分野に本格的に導入され、これまで学問的にも実務的にもいろいろな業績を上げてこられました。特にモビリティ・マネジメントを中心とした制度設計や展開の支援に貢献されてきたことが、大きく評価されました。 そして今後は、個人の意識と行動の変容の関係というものを、地域社会の意識と行動の変容に研究を拡張させるということで、たいへん意義深いことであると我々は評価しました。 各種の施策を実社会に導入する場合には、個人だけではなくて、その地域社会の意識を通して行動を変化させていかなければなりません。藤井先生の社会心理学的なアプローチは、これからの施策の効率的な実現において非常に有用性が高いだろうと期待しております。 一方学位論文部門ですが、この部門は、過去3年、2005年度から2007年度内に取得した特に優れた学位論文に与えられる賞です。研究部門同様に慎重に審査をした結果、広島大学助教の嶋本寛先生に決まりました。 嶋本先生のご研究は公共交通機関ネットワークの配分モデルというもので、鉄道の運用管理に関する施策変数を明示的に取り込んだネットワーク解析というものを構築されました。たとえば施策変数として、運行頻度、車両の容量ですとか運賃、そういう公共事業者の施策を反映できるようなモデルを作ってくれたということが高く評価されました。 嶋本先生のご研究は、現在岐阜大学におられます倉内文孝先生の研究をベースにそれを発展させたものですが、こういう公共交通のネットワーク配分につきましては、分野の先鞭をつけたものとして高い評価をいたしました。 また特筆すべき点としては、実規模のネットワークにも適用できるようなものにしてくれたことです。博士論文のなかでは、具体的に、ロンドン地下鉄網を対象にしたさまざまな施策分析も行っておられます。昨今では情報提供が重要な施策として位置付けられていますが、情報提供効果の評価というものにも取り組んでいただいております。 さらに、多目的な二段階最適化問題というものを定式化して、たとえば、効率性だけではなくて公平性というような指標も取り込んでいただいたというところも特筆すべき点だと考えております。以上のような理由で、学位論文部門の賞は嶋本先生に決めさせていただきました。 今回は研究部門、学位論文部門のどちらの審査でも、実はどなたも拮抗しておりましてたいへん審査員泣かせでありました。東西かなりバランスよく応募をいただいていまして、ますますこの米谷・佐佐木賞が全国的になってきたと考えております。 以上、簡単ですが講評とさせていただきます。 |
受賞者
研究部門
受賞対象既に評価の高い研究成果を発表するとともに、現在斬新な研究プロジェクトを推進中の若手の研究者あるいは技術者
学位論文部門
受賞対象過去3年( 2005年度、2006年度、2007年度 )内に取得した特に優れた学位論文
研究報告講演