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米谷・佐佐木基金

第9回 米谷・佐佐木基金授賞式

日時:平成25年11月29日(金)15:00〜17:00
場所:ホテル日航プリンセス京都 〜ローズ〜(京都市下京区烏丸高辻東入ル)

  • 受賞式・受賞パーティーの様子はこちら
式次第
一、開会の辞↓ 飯田恭敬
一、選考の経過並びに結果発表↓ 桑原雅夫
一、受賞者の表彰↓ 飯田恭敬、米谷多喜子、佐佐木眞知子
一、受賞者(研究部門)の挨拶 山田忠史
一、受賞者(学位論文部門)の挨拶と受賞講演 和田健太郎
一、研究報告講演↓ 山本俊行
一、閉会  
開会の辞
飯田恭敬

 昨日から急に寒くなりました。この寒いなか、たくさんの方に米谷・佐佐木賞の授賞式にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。この米谷・佐佐木賞は、今回で第9回を迎えました。

 米谷栄二先生は、日本で最初の交通工学の研究者です。その研究活動のなかでもっとも著名な論文が、「追従理論」と言いまして、車が車列で並んで走行している場合の各車の挙動を記述する理論についての論文です。これがオペレーションズ・リサーチ学会のジャーナルに出まして、それが高く評価されました。

 佐佐木先生は、その「追従理論」も一緒に研究されたのですが、その他には「エントロピーの理論」、「マルコフのネットワーク理論」、「パーソン・トリップの基礎的な研究」などの斬新な研究をされてこられました。

 このように、お二人は交通工学で先導的な役割を果たされてきましたので、それを記念する意味でこの賞を作ろうということになった次第です。従いまして、この米谷・佐佐木賞の対象になりますのは、交通工学のニュー・フロンティアと言いますか、新しい次元を拓くような研究を対象に選定をさせていただいております。

 米谷・佐佐木賞の表彰対象は二つの部門からできております。研究部門は京都大学の山田忠史さん、学位論文部門は東北大学の和田健太郎さんのお二人が選ばれました。誠におめでとうございます。選考経過につきましては、あとで桑原雅夫先生から詳しい報告がなされます。

 最近では、若い研究者の方々のポストは任期付きのポストが非常に多くなったようです。なかなか腰を落ち着けて研究ができない。これでは若い人が大学の研究者になることの魅力が欠けてくるという状況で、たいへん心配しています。米谷・佐佐木賞がそういったことに対するささやかな支援になってくれればと願っています。

 いずれにしましても、米谷・佐佐木賞は、交通工学、交通計画の新しい研究を切り拓くことを期待して出す賞ですので、これからも精進して新しい研究の発展に貢献していただきたいと思います。

 今後ともみなさまのご支援、ご指導をよろしくお願いしたいと思います。簡単ですが、これで挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。

選考の経過並びに結果発表
桑原雅夫

 第9回米谷・佐佐木賞の選考の経過ならびに結果の発表をいたします。

 研究部門につきましては、京都大学准教授の山田忠史先生が選ばれました。3名の応募者のうち2名が二次審査に進み、山田先生が栄えある賞に輝いたということです。なお、惜しくも受賞を逃された研究につきましても、将来性のある研究として評価されました。再度の応募を期待しているところであります。

 一方、学位論文部門につきましては、応募者6名のなかから東北大学大学院情報科学研究科特任助教の和田健太郎先生が選ばれました。6名の応募のうち3名が二次審査に進み、和田先生が激戦を制した形となりました。

 研究部門受賞の山田先生の研究内容は、「サプライチェーン指向の物流メカニズム解明に関する理論的研究──スーパーネットワークモデリングと交通ネットワークの最適設計」というものです。

 生産、取引、消費の担い手である製造業者、卸売業者、小売、消費者、それからものの輸送の担い手である物流業者の行動、これらを記述するためには、商取引を記述するサプライチェーンネットワークと、ものの輸送を記述するトランスポートネットワークを統合したスーパーネットワーク均衡モデルが必要で、和田先生はそれを開発されました。我が国では物流に関する研究はあまり多くないのですが、物流に関するこのような多様なプレイヤーの行動を総合的に考慮できるモデルの開発は、まさにスーパーモデルということで高く評価されました。

 一方、学位論文部門受賞の和田健太郎先生の博士論文の題目は、「交通需要予測を必要としない自律分散型の動的混雑管理法:ネットワーク通行権取引制度とそのインプリメンテーション・メカニズム」です。これまでの交通制御は、混雑料金とか流入制御などの経済的あるいは物理的な制約を設けて、利用者の行動を変化させようというものでした。一方、この和田先生の研究では、ボトルネックの交通容量を超えない量だけ流すというより直接的な数量規制を扱っています。それによって渋滞を解消しようとするものです。

 従来の方策では、道路管理者が利用者の行動を正確に把握することが必要でしたが、直接数量規制をする本研究では、利用者の行動の把握という問題を回避しています。このような考え方は、米谷・佐佐木賞の第1回の受賞者である赤松隆先生が提唱してきたものですが、和田先生はこの研究を進化させました。すなわち自律分散的な信号制御ルールという供給側の制御を提案し、インターネット等を使った通行権取引のオークション形式の市場ルールを明らかにしたということです。

 本研究は、通行権取引を導入して、待ち行列ができないネットワークを創り出すことによって、オークションによる需要の調整と、信号制御といった供給側の制御の問題を巧みに解析しています。実務では聞きなれない通行権取引というシステムも、これからの交通のIT化によって近い将来実現されるかもしれません。

 以上が第9回米谷・佐佐木賞の選考の経過並びに選考の結果です。先ほど飯田先生からありましたように、今年が9回目で、来年は10周年です。引き続き多数の応募をお待ちしております。受賞されました山田先生、和田先生、本当におめでとうございます。

受賞者

研究部門

受賞対象既に評価の高い研究成果を発表するとともに、現在斬新な研究プロジェクトを推進中の若手の研究者あるいは技術者

山田忠史氏

山田 忠史
京都大学大学院 工学研究科 准教授

【 研究題目 】
サプライチェーンネットワークとの相互作用を考慮した貨物交通ネットワークの最適設計

学位論文部門

受賞対象 2010年9月から2013年8月に取得した特に優れた学位論文

和田健太郎氏

和田 健太郎
東北大学大学院 情報科学研究科 特任助教

【 学位論文題目 】
交通需要予測を必要としない自律分散型の動的混雑管理法:ネットワーク通行権取引制度とそのインプリメンテーション・メカニズム

「学位論文部門」受賞者の挨拶と発表の様子

研究報告講演

 

山本俊行氏

山本 俊行
名古屋大学 エコトピア科学研究所 教授

【 研究題目 】
次世代型モビリティの導入による環境負荷削減効果の分析

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