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公益事業情報

米谷・佐佐木基金

第10回 米谷・佐佐木基金授賞式

日時:平成26年11月28日(金)15:00〜17:00
場所:ホテル日航プリンセス京都 〜ヴィオラ〜(京都市下京区烏丸高辻東入ル)

  • 受賞式・受賞パーティーの様子はこちら
式次第
一、開会の辞↓ 近藤勝直
一、選考の経過並びに結果発表↓ 溝上章志
一、受賞者の表彰↓ 近藤勝直、米谷多喜子、佐佐木眞知子
一、受賞者(研究部門)の挨拶 井料隆雅
  加藤浩徳
一、受賞者(学位論文部門)の挨拶と受賞講演 柳沼秀樹
一、研究報告講演↓ 山田忠史
一、閉会  
開会の辞
近藤勝直

 表彰式の開会にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。おかげさまで、この米谷・佐佐木賞は、今回で記念すべき第10回を迎えることとなりました。偏にみなさま方のご支援、ご鞭撻の賜物と、感謝しているところでございます。

 10年経って時代も変わり、応募者の研究環境・研究内容も変化を遂げてまいりました。このような変化に合わせて、この米谷・佐佐木賞も対応する必要があると考えています。もちろん、米谷・佐佐木両先生の志は原点でございますので、これを引き継ぎながら持続的な姿を模索することが、我々に課せられた仕事であると考えています。

 すでにホームページ等で、研究部門については来年から募集のかたちを変えるということをお知らせしております。もし何かいいアイデアがあれば、スピーチや雑談のなかででもご披露いただけたら、たいへんうれしく思います。

 米谷・佐佐木賞の基本は、あくまでも国際的なレベルでの将来性ある研究に対して、研究助成というかたちで賞を授けるというものでございます。私も米谷・佐佐木両先生に助手としてお仕え申し上げてきました。やはり国際的な環境に身を置くことが、もっとも大事なことであろうと考えます。とくに最近のノーベル賞の受賞者を見ておりましても、そのような国際的な環境が大事だと痛感している次第です。

 したがって、短期的な成果を求めるよりも、長期的で地道な研究にも賞を与えたいという考えももっております。そのようなことも含めまして、来年に向けて募集のかたちをこれから模索していきたいと考えています。

 今回の3名の受賞者につきましては、このあと審査委員の溝上先生から講評がございますので、私のごあいさつはこのあたりにさせていただきたいと思います。今後ともみなさま方のご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

選考の経過並びに結果発表
溝上章志

 選考委員会を代表しまして、選考の経緯と結果、講評をさせていただきます。

  第10回米谷・佐佐木賞の研究部門につきましては、神戸大学大学院の井料隆雅先生、東京大学大学院の加藤浩徳先生が選考されました。お二人とも研究内容、あるいは今後の研究展望に対して高い評価を得たことはもちろん、従前のスタイルの研究部門は今回が最後なので、今回はお二人を選考させていただきました。

 なお、惜しくも受賞を逃された研究につきましても、将来性のある研究として高く評価されておりました。来年度から新しいかたちで始まる研究部門に相当する研究であれば、どんどん応募いただきますことを期待しているところでございます。

  一方、学位論文部門につきましては、東京大学大学院の柳沼秀樹先生が選考されました。

  研究部門受賞の井料隆雅先生の研究は「交通と情報の動学的特性を考慮した交通流と交通行動のモデルとその評価」です。題目からして難しく、じつは選考委員も苦労しました。私が他の選考委員と少しお話ししたことを含めて、どのようなところが高く評価できるかを申し上げます。

  交通流の動学的解析は重要な研究テーマです。井料先生は、とくに動的利用者均衡配分の問題を正確に定式化して、これを簡易的かつ確実に解く方法を開発されました。ところが、これには複数の解が存在するので注意しなければいけないのですが、そのことまでも示した理論的な研究をされ、この成果は国際ジャーナルでも紹介され、高く評価されています。つまり、この分野での最先端の研究をしてこられたことが高く評価されました。

  それから、今後、取り組もうとされているのは、プローブデータに代表されるビッグデータと言われる大規模な交通データを取り扱うに際して、利用・解析手法を体系的に考えようという研究です。これができますと、高速道路あるいは交通の管制方法等に新たなフレームが作れ、交通工学の研究分野においては大きなブレイクスルーとなり得る。今後の成果が期待されるということで、研究部門の賞を差し上げることに決めました。

  研究部門のお二人目は加藤浩徳先生です。加藤先生の研究は「交通時間価値の総合的研究」です。時間価値というのは予測にも評価にも重要なパラメータで、同時に伝統的な研究テーマです。加藤先生は比較静学を用いた理論分析や非線形効用関数を用いた離散選択モデルによる実証的分析、それを経路選択行動のデータで推計されたり、過去の研究論文で得られた知見を用いた比較分析をされるなど、様々な方法を用いられて時間価値に関する一連の研究を厳密かつ包括的に行われました。その成果を国際ジャーナルに発表されるだけではなく、著作にもされました。これらの研究成果がこの分野の研究発展に対する貢献度が高いと評価されて、今回の受賞に至りました。

  今後の研究は、これまでの研究テーマを拡張されて、交通プロジェクトの評価に集積あるいは労働市場への波及効果などをも考慮できるとされているのですが、そういう新たなインフラ整備の評価方法に取り組まれるというものです。先進的でかつ実社会に求められている重要な課題を今後も精力的に研究されるという点が高く評価されています。

  学位論文部門を受賞された柳沼秀樹先生の博士論文の題目は、「都市鉄道混雑緩和のための頻度ベース経路配分モデルならびに駅構内歩行者挙動モデルの開発」です。

  柳沼先生は、博士課程を単位取得退学されたあと、鉄道の研究をされているにもかかわらず高速道路関係の会社に数年おられて、そのあいだに学位論文としてまとめられたものが今回の受賞に至りました。

  大都市圏の大規模な鉄道ネットワーク上の混雑現象を考慮した鉄道の経路選択は非常に重要ですが、混雑というものをどのように記述するかは難しいわけです。柳沼先生は、列車内の混雑と路線上の混雑との二つからなるネットワーク上の混雑、それと駅やターミナルでの混雑から総合的な混雑指標を作られて、これを記述するためのHyperpathネットワークというものを構成されました。

  そのうえで、柳沼先生は、高度な情報処理技術を活用して、Hyperpath上での配分とか、逐次選択モデルによるシミュレーション計算をされて、実務での利用を念頭に置いたシステムに実装していかれました。その有用性は高く、社会的にも意義が高いということで、今回の学位論文部門として選考させていただきました。

  現在は、これからのプロジェクトの一つとして、災害時のレジリエントな道路網の整備あるいは評価の方面にも研究を拡げておられまして、今後その成果が期待されるところでございます。

  以上が選考の経緯と選考の理由でございます。研究部門は今年度がちょうど10回目で、来年からは新たな研究部門に代わるものを考えているところです。その基準や内容にマッチしていると思われる方は、引き続き応募していただきたいと考えています。なお、学位論文の部門については、これからも若手を育てていくという意味で、従来どおり公募いたします。

  受賞されました井料隆雅先生、加藤浩徳先生、柳沼秀樹先生、ほんとうに本日はおめでとうございました。

受賞者

研究部門

受賞対象既に評価の高い研究成果を発表するとともに、現在斬新な研究プロジェクトを推進中の若手の研究者あるいは技術者

井料隆雅氏

井料 隆雅
神戸大学大学院 工学研究科 教授

【 研究題目 】
交通システムのダイナミクスを理解し制御するためのデータ活用理論 〜ポスト・ビッグデータ時代の交通工学〜

加藤浩徳氏

加藤 浩徳
東京大学大学院 工学系研究科 教授

【 研究題目 】
交通事業の経済的効果に関する基礎研究

学位論文部門

受賞対象 2011年9月から2014年8月に取得した特に優れた学位論文

柳沼秀樹氏

柳沼 秀樹
東京大学大学院 工学系研究科 特任助教

【 学位論文題目 】
都市鉄道混雑緩和のための頻度ベース経路配分モデルならびに駅構内歩行者挙動モデルの開発

「学位論文部門」受賞者の挨拶と発表の様子

研究報告講演

 

山田忠史氏

山田 忠史
京都大学大学院 工学研究科 准教授

【 研究題目 】
サプライチェーンネットワークとの相互作用を考慮した貨物交通ネットワークの最適設計

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