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米谷・佐佐木基金

第12回 米谷・佐佐木基金授賞式

日時:平成28年11月25日(金)15:00〜17:10
場所:ホテル日航プリンセス京都 〜ローズ〜(京都市下京区烏丸高辻東入ル)

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式次第
一、開会の辞↓ 近藤勝直
一、選考の経過並びに結果発表↓ 朝倉康夫
一、受賞者の表彰↓ 近藤勝直、佐佐木眞知子
一、受賞者(創研部門)の挨拶と受賞講演 谷口 守
一、受賞者(学位論文部門)の挨拶と受賞講演 瀬尾 亨
  村上大輔
一、受賞者(ISTTT功績部門)の挨拶と受賞講演 Carlos F. Daganzo
一、閉会  
開会の辞
近藤勝直

 選考委員長の近藤でございます。主催者を代表して、ひとこと、ご挨拶もうしあげます。

 おかげさまで今年も、米谷・佐佐木賞の授賞式を、迎えることができました。これもひとえに皆様方の日頃のご支援のたまものと、厚く御礼申し上げます。12回というのは、学童の年齢でいえば、まだ小学校6年生で、一人前とはいえません。まだまだ皆様方のお力とご支援が必要でございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 今年はお手元の資料に記載の通り、4名の方に賞を贈ります。筑波大の谷口先生、東京工大の瀬尾さん、国立環境研究所の村上さん、そしてカリフオルニア大学バークリー校のカルロス・ダガンツォ先生です。誠におめでとうございます。のちほど朝倉先生より受賞理由など述ベていただきます。

 さて、毎年この賞の選考をしており、常々判断基準の1つにしておりますのが、「このひとに賞を差し上げて、佐佐木先生から叱られないだろうか」ということであります。恐らく選考委員の朝倉先生も同じ思いだろうと推察しているのですが、米谷先生はご存じの通りジェントルマンですから、何もおっしゃいませんが、佐佐木先生だけは、そうはいきません。毎年正月2日に米谷・佐佐木両先生の墓参をして、報告をしますが、イエスともノーとも返事が返ってきません。黙認されたと理解することにしています。

 両先生のお墓、2つ並んでいるのですが、私は毎年3回お参りします。こんなよくできた弟子は私以外にはいないでしょう。種を明かせば、我が近藤家の墓も、同じ墓地、相国寺の墓地の中にあります。春の彼岸・盆・正月にお参りし、ついでに両先生の墓にもお線香を手向けています。今度は新しいISTTT賞の報告がありますから、何か反応があるのではと期待しています。

 以上、ご挨拶に代えさせていただきます。

選考の経過並びに結果発表
朝倉康夫

 選考委員会委員長の近藤勝直先生に代わって、選考経緯と選考結果についてご報告します。

 まず創研部門について報告いたします。創研部門の評価の視点は、新規性と有用性と発展性の3点です。これらの評価項目に対して、委員長を含む選考委員6名が評価点を入れるとともに、合わせて短いコメント、それから評価の理由を添えました。

 今年度は、創研部門には4名の応募がございました。選考委員会では、各応募者への評価点の合計、それからコメントを参照しつつ全員で審議して、もっとも優れていると思われる方1名を、全会一致で選びました。

 受賞者は、筑波大学システム情報系の教授である谷口守先生です。おめでとうございます。谷口先生はこれまで都市計画や交通計画の分野で顕著な業績を上げてこられ、この分野で我が国を代表する研究者の一人です。

 谷口先生が応募されたテーマは「サイバー空間への交通行動分析」です。サイバー空間での行動、たとえばインターネット・ショッピングのような行動が、実際の空間での交通行動にどのように転換し、またそれが都市の活動にどのように影響を及ぼしているかを明らかにしようとする研究です。

 現在であればそういう研究を思いつくことも不思議ではありませんが、谷口先生は15年も前にこのテーマを着想されて成果を積み重ねるとともに、いまでも新しくどんどん登場しているサイバー空間でのさまざまなサービス、アプリを考慮した研究を展開されようとしています。その意味で、新規性・発展性にも優れているだけではなく、高度情報化社会のなかでの都市計画や交通計画への応用といった有用性もあると高く評価されたところであります。

 続いて、学位論文部門について報告します。この賞は、優れた博士学位論文を対象としており、評価の視点は、研究内容の新規性、当該分野の研究発展に資する貢献度、研究成果の有用性、そして今後の将来展望です。それぞれについて各選考委員が評価して、コメントを添えました。

 今年度は、学位論文部門については6名の応募がありましたが、そのうち評価点の合計がとくに優れている2名を受賞者とすることで全員の意見が一致しました。

 まずお一方は、東京工業大学の環境・社会理工学院で研究員をされている瀬尾亨さんです。瀬尾さんのテーマは「Traffic Estimation with Vehicles Observing Other Vehicles」で、簡単に言うと、前方の車とのあいだの車間距離を観測できるプローブ車両が存在するときに、交通量、速度、密度といった交通状態量を推定する手法に関する研究です。車間距離の計測を前提として交通量や密度を推定するという問題設定自身に新規性があり、また首都高速道路での観測データによる検証も行なっていることから、交通工学実務での有用性も高いと評価されました。

 学位論文部門のもうお一方は、国立環境研究所の地球環境研究センターで特別研究員をされている村上大輔さんです。村上さんのテーマは「New methodologies for the change of support problems: development of spatial statistical models」です。これは都市計画や交通計画の分野において、空間データの位置座標あるいは集計単位を、分析者あるいは実務の方が必要とする位置や大きさに変換することが必要なのですが、そのための方法に関する研究です。

 空間統計学の最新の知見を活かして、空間データの処理に関する理論的な方法が提案されていて、都市計画、交通計画の日常的業務をサポートするのに有用な成果であると高く評価されました。

 最後に国際部門賞であります「Kometani-Sasaki Award for Contribution to ISTTT」について報告します。これは交通研究における顕著な業績があり、またISTTTの学術的活動を継続・発展させるために重要な貢献をされた方を選ぶものです。選考委員会で議論・審議を重ね、米国カリフォルニア大学バークレー校のCarlos F. Daganzo教授を選びました。

 Daganzo先生は、交通流、交通ネットワーク分析で顕著な業績をお持ちであるだけではなく、サプライチェーンの研究、それから交通行動分析に使われるプロビット・モデルの研究でも独創的な成果を上げておられます。

 Daganzo先生は、米谷先生、佐佐木先生が主催された1977年の京都での第7回ISTTTに初めて論文を発表されて以降、昨年神戸で開催しました第21回のISTTTに至るまでの40年間に、12篇の論文をこの国際シンポジウムで発表されています。またDaganzo先生は、ISTTTの学術委員会で、2002年から2009年のあいだConvenerという全体を取り仕切る役目を務められ、ISTTTの発展に大きく貢献されました。

 これらの業績から、選考委員の全員が一致して、Daganzo先生が第1回の「Kometani-Sasaki Award for Contribution to ISTTT」の受賞者にもっともふさわしいと評価しました。

 以上、簡単ですが、選考経緯と選考理由および結果についてご報告させていただきます。ありがとうございました。

受賞者

創研部門

受賞対象 交通工学・交通計画の分野にて、斬新な研究テーマを推進中の研究者および技術者

谷口 守氏

谷口 守
筑波大学システム情報系社会工学域 教授

【 研究題目 】
サイバー空間への交通行動分析:〜その都市に及ぶ影響まで〜

「創研部門」受賞者の挨拶と発表の様子

学位論文部門

受賞対象 2013年9月から2016年8月に取得した特に優れた学位論文

瀬尾 亨氏

瀬尾 亨
東京工業大学環境・社会理工学院 研究員

【 学位論文題目 】
Traffic Estimation with Vehicles Observing Other Vehicles
周辺移動体を観測する移動体観測に基づく交通状態推定

「学位論文部門」受賞者の挨拶と発表の様子

村上 大輔氏

村上 大輔
国立環境研究所 地球環境研究センター 特別研究員

【 学位論文題目 】
New methodologies for the change of support problems:
development of spatial statistical models
時空間データの空間単位変換のための空間統計手法の開発

「学位論文部門」受賞者の挨拶と発表の様子

功績部門

受賞対象 交通工学・交通計画の分野で、社会貢献された研究者および技術者

該当者なし

(該当者なし)

 

ISTTT功績部門

受賞対象 米谷・佐佐木先生に由来のあるISTTTに貢献された研究者および技術者

Carlos F. Daganzo氏

Carlos F. Daganzo
カリフォルニア大学バークレー校 教授

 

「ISTTT功績部門」受賞者の挨拶と発表の様子

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