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公益事業情報

米谷・佐佐木基金

第11回 米谷・佐佐木基金授賞式

日時:平成27年11月27日(金)15:00〜17:00
場所:ホテル日航プリンセス京都 〜ローズ〜(京都市下京区烏丸高辻東入ル)

  • 受賞式・受賞パーティーの様子はこちら
式次第
一、開会の辞↓ 近藤勝直
一、選考の経過並びに結果発表↓ 藤原章正
一、受賞者の表彰↓ 近藤勝直、佐佐木眞知子
一、受賞者(学位論文部門)の挨拶と受賞講演 中西 航
  小笹俊成
一、受賞者(功績部門)の挨拶と受賞講演 松尾 武
一、研究報告講演↓ 井料隆雅
  加藤浩徳
一、閉会  
開会の辞
近藤勝直

 おかげさまで米谷・佐佐木賞の授賞式は、第11回を迎えました。本日はご多用のなか、また冷たい風が吹いていますなか、お集まりいただき、ありがとうございます。

 今年から新しい企画で応募を受け付けて、厳しい審査をして、本日を迎えたわけでございます。対象とした部門については、ホームページ等でご案内のことと思いますが、一つは今年から新しく創研部門を設立いたしました。従来は研究部門と称して実績のある研究を重ねた方に授与していたわけですが、だんだん応募が減り、また該当するレベルの方々も減りまして、昨年の加藤浩徳さんと井料隆雅さんを最後に止めざるを得ない感じになってしまいました。

 そこで、少し趣旨替えをして、実績も踏まえたうえで、何か新しい分野にチャレンジしていただいた方に賞を出そうということで、新しく創研部門を設けました。しかし、どうもその真意が伝わらずに、二人の応募をいただいたのですが、レベルというよりも趣旨が合わなかったということで、今年は見送りとさせていただきました。来年、もう一度、趣旨を徹底させるか、他の賞にするかを考えなくてはいけないと反省をしているところでございます。

 二つ目が学位論文部門です。これは従来どおりに公募をしまして、すぐれた学位論文に対して2件、賞を出そうということです。例年、6〜7名の応募があって、今年は若干少なくて5名ということでしたが、小笹俊成さんと中西航さんが受賞されました。受賞の理由はあとからご紹介があると思います。

 三つ目に、新規部門の功績部門です。これは今年から新たに設けたもので、各自が応募するものではなくて、選考委員会が一方的に指名させていただくかたちでございます。

 交通工学あるいは交通計画の学問分野で貢献された方を選ぶのが先ほどまでの賞ですが、これは社会貢献された方に贈ろうという趣旨のものでございます。単に年功を重ねたというだけではなくて、実際に社会の役に立ったというところがポイントです。

 栄えある第1回は、阪神高速道路公団OBの松尾武さんが選考されました。あとでわかりやすいお話があると思います。

 もう一つ、現在、企画中のものがあります。米谷榮二先生、佐佐木綱先生は、昔から続いている国際交通流シンポジウムの創設に関わっておられます。

(資料)Transportation Research Procedia
(資料)Transportation Research Procedia

 今年は井料隆雅先生が大変、汗をかかれまして、第21回が神戸で行われました。これはそのときの論文集です。桑原雅夫先生と喜多秀行先生と朝倉康夫先生の3名がエディターとして名前が書かれています。

 従来は3年に1度だったのですが、最近は2年に1回と頻度が高く開催されています。

(資料)Founders of ISTTT
(資料)Founders of ISTTT

 この論文集を何ページかめくりますと、ISTTT(International Symposium on Transportation and Traffic Theory)のFoundersとして、創立メンバーのなかに「Tsuna Sasaki」と入っております。

米谷先生と佐佐木先生が連名で、ORSA(Operations Research Society of America)、アメリカのオペレーションズ・リサーチ学会の雑誌に追従理論を出されました。それを見たゼネラル・モーターズのRobert Hermanが、同じ研究をやっているということで、佐佐木先生、米谷先生、オーストラリア・アデレードのRenfrey Potts、それからUniversity College LondonのJohn Wardropなどに声をかけて、第1回がミシガンのアナーバーで行われました。それが1959年でした。佐佐木先生の名前がFoundersに載っています。

(資料)Honorary Members of IAC
(資料)Honorary Members of IAC

 米谷先生はHonorary Membersのページに載っています。米谷先生もFoundersになっていいのではないかと思ったのですが、こちらを見ているとお亡くなりになられた方が多いのかなという感じです。北村隆一先生なども載っております。

京都、横浜、神戸と、日本で3回行われました。裏話になりますが、第6回がシドニーであって、私と佐佐木先生が発表して、米谷先生と北村さんの4人で出かけたわけです。最終日が終わって部屋に帰ってきて、佐佐木先生はミーティングに一人で向かわれました。

しばらくすると佐佐木先生が部屋に戻ってこられて、「米谷先生はどこにいらっしゃる。実は7回目は京都でどうだという話が持ち上がっているんだ」と言われました。佐佐木先生が「YES」と言ってくれればいいのに、「ここはどうしても米谷先生のYESがいるんだ」と言って、米谷先生を連れてそのインターナショナル・コミッティの部屋に戻られたのです。それで米谷先生の「I agree.」という一言で決着したそうです。これは結果的に大正解だったと私は思います。

おかげで、無事に第7回のISTTTが成功しました。もちろん、当社団の初代会長が米谷先生で、2代目が佐佐木先生という因縁もありまして、これが今年のProcediaに載っていたので、紹介させていただきました。

このようなシンポジウムが連綿として続いておりますので、この創始者である米谷先生、佐佐木先生の由来ということで、このシンポジウムに貢献した方をぜひ表彰したいと考えています。一種の功績賞みたいなものです。今、考えていますのは「Kometani-Sasaki Award for Contribution to ISTTT」という少し長いタイトルですが、来年のこの会ではぜひどなたか一人をご指名をして、ご紹介させていただきたいと考えている次第です。

今年は企画中ということをご報告申しあげて、本日の挨拶としたいと思います。どうもありがとうございました。

選考の経過並びに結果発表
藤原章正

 選考委員会を代表して、このたびの受賞者の選考過程について、ご報告を申しあげます。

 先ほど近藤先生からご紹介いただきましたが、今年度は創研部門という新しい部門を表彰の対象として創立しました。対象は交通工学・交通計画の分野で、斬新な研究テーマを推進中の研究者および技術者ということです。2名の方のご応募がありましたが、委員の方がたの厳正なる審査の下に、ちょっと趣旨が違うのではないかということで、今回は該当者なしということになりました。

 従前から行っております学位論文部門については、第10回と同じ基準で選ばせていただきました。5件の応募のなかで優秀な論文を2件選ばせていただきました。この学位論文部門は、過去3年の間に学位をとられた優秀な国内の学位論文に対して授与しています。

 お一方は東京大学で助教を務めておられる中西航先生のご研究を選考しました。テーマは「予測モデルと観測データを統合した人物追跡手法の開発」です。最近の計測技術の発展とモデルの高度化、これらの流れをうまく統合して、難しい人物の追跡手法を実現させてみせるというチャレンジングなご研究であります。特にモデルとデータの同化理論を提案されて、それを状態空間モデルという使えるかたちで具体的に提示し、その効果検証を実データで行った点が高く評価されました。さらに、このような手法が流動の制御あるいは空間施設配置の設計に大いに応用できるのではないかということで、期待も込めまして、選考委員の満場一致で選ばせていただきました。

 もうお一方は小笹俊成さんで、株式会社福山コンサルタントで実務をされている方です。この方の論文タイトルは「道路事業便益の動的評価手法に関する研究」でした。道路ネットワークの整備効果を検証するときに費用便益分析を行いますが、道路の整備区間の設定の仕方とか、複数の区間があったときに、その整備の優先順位も内生化したかたちでベネフィットを計算する手法を提示しようという、おそらく実務での長年のニーズを正面から捉えられた、実務に適用できる論文でございました。

 しかも、提案手法を実ネットワークに適用して効果を検証しており、有用性が高いということで、これまた審査員の満場一致で選考させていただきました。

 最後に功績部門です。新たに設けましたこの功績部門の対象は、交通工学・交通計画の分野で社会貢献をされた研究者および技術者ということで、松尾武さんを選ばせていただきました。

 私は実は充分に存じ上げていないところもあったのですが、システムの名前を聞くと、「ああ、そうなんだ」と思いました。阪神高速道路のいわゆる交通管制システムのなかの、たとえば検知機の設置方法や渋滞の判定方法、提示する情報の優先順位、あるいは所要時間の表示方法、警察のシステムとのオンライン接続の方法、このようなものを使えるかたちで、阪神高速道路の交通管制として適用された第一の貢献者だと伺っています。

 その成果は、土木学会の技術賞、あるいはアメリカ経営科学会のFranz Edelman賞、関西道路研究会優秀作品賞などのかたちで、すでに社会から高く評価されているものです。

 土木学会の技術賞は通常は構造物に対して与えられてきたようですが、このとき初めていわゆるシステムの貢献ということで受賞されて、大きな話題をよんだと伺っております。このような長年のご功績を称えまして、このたび松尾さんを第1回の功績部門の受賞者として選定させていただきました。

 最後になりましたが、受賞された方々は、この瞬間では間違いなくナンバー1の研究業績を出されていると思いますが、選考委員のなかでは、さらにこれからステップアップしていただけるという思いもあります。特に学位論文のお二方につきましてはいっそうの飛躍をなさることをお祈りしまして、選考委員を代表したご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

受賞者

創研部門

受賞対象交通工学・交通計画の分野で、斬新な研究テーマを推進中の研究者および技術者

該当者なし

(該当者なし)

 

学位論文部門

受賞対象 2012年9月から2015年8月に取得した特に優れた学位論文

中西 航氏

中西 航
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 助教

【 学位論文題目 】
予測モデルと観測データを統合した人物追跡手法の開発

「学位論文部門」受賞者の挨拶と発表の様子

小笹 俊成氏

小笹 俊成
株式会社福山コンサルタント交通マネジメント事業部(西日本帯) 事業部次長

【 学位論文題目 】
道路事業便益の動的評価手法に関する研究

「学位論文部門」受賞者の挨拶と発表の様子

功績部門

受賞対象 交通工学・交通計画の分野で、社会貢献された研究者および技術者

松尾 武氏

松尾 武
元 財団法人阪神高速道路管理技術センター 専務理事

【 講演題目 】
阪神高速道路の交通管制に携わって

「功績部門」受賞者の挨拶と発表の様子

研究報告講演

 

井料 隆雅氏

井料 隆雅
神戸大学大学院工学研究科 教授

【 研究題目 】
交通システムのダイナミクスを理解し制御するためのデータ活用理論
〜ポスト・ビッグデータ時代の交通工学〜

加藤 浩徳氏

加藤 浩徳
東京大学大学院工学系研究科 教授

【 研究題目 】
交通インフラの経済生産性へ与える影響
〜中間報告〜

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